1.はじめに
弊社では,「路面性能:滑らず・平ら」と「舗装の構造的健全度」の調査機器に特化した商品・調査サービスの提供に重きを置いています。
H29年度発刊の「舗装の点検要領」は,目視調査によるクラック・わだち掘れ・IRIが基本ですが,「IRI調査」を目視で行なうのは人の目の特性から難しいとの判断で,機械調査をお進めします。
2.IRIの基本
H29年度に正式採用した日本としては「新しい路面性能指標」です。1986年にUSAの世界銀行が改良開発しました。その基本は
@ わだち部の縦断形状を250mmピッチで収集する。(方法は自由)
A この縦断形状の上を仮想車・仮想走行させた時の車両の上下挙動量の
総和量/距離=IRIとする。標準車の応答シミュレーション活用技術である。「目視による活用」は日本版:S032Tのみです。
3.測定原理(逐次2角法)(P3329796)(共同特許)
IRI 算出の原資(縦断形状)の測定精度が大きく影響すると想定して,大きく動く車両から精度高く計測できる逐次2点法*1)を改良した逐次2角法を開発した。
原理は,昭和45年に佐藤先生(東京大学・現:東京大学名誉教授)が考案された方法でシンプルな構成で高精度の縦断形状が走行中(0〜105Km/H)に収集できる方法です。また,色々な路面の状態でも安定な「小型タイヤの接触形」にしました。構成は250mmピッチに小型タイヤの測定子を配置しピッチ移動毎にタイヤ間の連結角変化(α)を収集する。
縦断形状の復元は,初期角度にピッチ毎の変化量を加算すればよく,単純であるが,しかし累積誤差は生じるから復元距離=100mにしている。
一般式化すると下記となる。
車両装着タイプでは,R2タイヤは車両タイヤを兼用してる。
4. 測定装置
計測車両の左後輪軸を外側に延長するアダプターに測定器の主軸を結合する,その軸から前後に張り出したアーム先端に小径タイヤの接地測定子を配置した構造である。
「特長」:
@ 路面の変化に追従性が良い。
A 大半が回転機講で応答性・耐久性・耐磨耗性に優れている。
B 排水舗装面でも精度高く測れる。(分解能≒0.005mラジアン/パルス)繰り返し精度も高い。
C 装置の過時変化は極めて小さい。
5. 解析・処理系
路面性能(IRI)以外に舗装の構造的健全度予測が可能で在ることが判った。概要を次に示す。成果物はH29舗装の点検要領に随う。
6. 1パス調査の概要:
一度の調査で@路面性能(滑らず・平ら)とA舗装の構造的健全度(強度予測・路床の支持力予測・中間層の損傷予測)が判る調査を可能にする調査法です。
損傷の「平面的及び断面的」の場所と評価内容の関連図を下記(図−5)に示す。
7. まとめ:
今後の道路維持管理の大半は,地方自治体が行うようになる。しかし,国の維持管理法には問題課題が多く,順守できない。 先ず第一は,費用が膨大になり,財政上は許容できない。第二は手法が古く現状に相応しくない。
そうした現状の救世主になれる可能性持つ自負している。
2k200901
文責: 福原 敏彦